川口自主上映会主催者から感想をいただきました
2016年5月8日(日)
5月初旬、早稲田大学の試写会で観てくださった埼玉県川口市の二人の主婦の方が、早速地元でのホール上映と、自宅を開放してのミニ上映会を開いてくださいました。上映が終わった後、どの会場でも参加者たちの語り合いの時間があり、それぞれの立場からの感想と憲法への思いをシェアしていただいたそうです。主催してくださった溝井さんと奥山さんに、主催してくださっての感想を書いて頂きました。お二人の「私にできることから」を楽しみながら実践される姿は素敵ですね。
上映会を開いて
試写を見て、私のできることは、この映画を周りの人に届けることだと思いました。それは、色んな人の言葉で成り立っているこの映画がシンプルに人の心に届くと思ったから。ちろん、日本国憲法の成り立ちや条項を丁寧に解説して下さっていることもありますが、それ以上に、やはり、色々な人の言葉でそれぞれの考えが語られていることに尽きるかな、と。
とにかくひとりでも多くの人に見てほしい、そして考えてほしい映画です。
この国は、所属ありきの国だと気付いた二十歳の頃。
どこかに所属していれば、考えを持たなくてもやり過ごしていける、それが嫌で自ら所属を飛び出したものの、その所属に私自身が守られていたという事実に気付き、敗北感、無力感を感じました。
それから、20年以上。所属にこだわるこの国は不思議なクニだと批判するだけではまだまだ自分ごとになって居ないと反省しながら、日々淡々と過ごしてきました。
憲法も然り。他人事で、自分ごとにならない。それは所属に守られているクニの構造と一緒だと。
だからこそ、この映画が心にぴぴっときた、ハンマーで頭を殴られた気分でした。
民主主義は違うことが前提。個の違いを認め合いながら、みなで話し合っていくことが出来たなら、いつかいつか、遠い未来はもっと素晴らしいものになっていく。珠玉のようなこの憲法は70年を経てやっと自分たちのものになるのかもしれません。それをするもしないも、私たち次第なんだよ、とそんな希望を持たせてくれる映画です。
何はともあれ、どうぞどうぞ、この映画を見てほしい。そして、もし見て何かを感じるならば、人に勧めてほしい。
今こそ、草の根から広がっていくパワーを感じています。その綿毛のひとつひとつはあなた自身なのですと。
埼玉県川口市溝井留美
ミニ上映会を終えて
参議院の選挙の前に大勢の人に観てほしいという、松井監督の熱意に共感しての自主上映でした。短期間のお知らせにもかかわらず多くの方が来てくださったのは、自分の知ってる人が主催者で、しかも場所も近いというのが大きな要因だったと思います。そこが自主上映の良さなのですね。お知らせには、メールやフェイスブックが役立ちました。そこからご自分の知り合いに広げてくれた方もいらしたので、基本は「知り合いからのお誘い」になったと思います。
また、上映後、お互いに話をする場を持てることも自主上映の良さだと思いました。
身近ということは、ハードルが低くなること。低いから跳んでみたら楽しかった!という感じを、参加した方が持ってくださったら嬉しいです。
もっとも、映画は「楽しい」という言葉からは遠いものでした。私にとっては知らなかったことも多く、特に歴史に学ぶところは、時折出る字幕を読むのが追いつかない場面もありました。でも難しさはこれからの関心につながるし、重苦しさは、そこに残る光を探す知恵になる。実際、明るさも感じました。最後にはボールがこちらに飛んできて映画は終わります。
私は昨夏まで、民主主義や立憲主義を自分のことに引き寄せて考えたことはあまりありませんでした。でも少し気をつけてみたら、過去から続くたくさんの方の志に触れることができました。そして今、新しく出会う人、出会う言葉から励まされています。
ただ愚痴を言ったり批判をするのでなく、できることをやってみる。ちょっと動いてみる。静かに考え、できれば楽しみながら…。それも民主主義を体現すること。そんな気持ちを深めてくれた映画と自主上映の体験でした。
埼玉県川口市 奥山博子